今では大量のラインナップから選定しないといけなくなってしまったマウスパッドですが、ここでひとつ、管理人が考える『マウスパッドの役割』とその選び方について触れていこうと思います。
詳しい数値測定なんかもできればよかったのですが、約5,000円で買えるマウスパッドにいったいどれだけの費用をかけるんじゃいという部分もあるわけなので、あくまでこういう仕組みじゃね?的なノリで解説を行っていきます。
また、数値化できないところが確実にあるので、数値にこだわる方にも一度考えてみてほしかったりもします。
是非この記事にお付き合いいただければ幸いです。
ゲーミングマウスパッドの考え方
この記事を読みに来たということはある程度の前提知識があると思います。
たとえば、バランスタイプ、コントロールタイプ、スピードタイプ、などといったマウスパッドがそもそも持っている方向性の話なんかです。
ただ、冷静に考えてみると、なにをしたらバランスタイプなの?コントロールタイプなの?スピードタイプなの?つまりどういうこと?という話ではあります。
なんてったって初心者にはよくわからない表現ですよね。
さて、この記事ではそんな特性の話について触れていくかと思いきや、一旦そのバランスタイプ、コントロールタイプ、スピードタイプという言葉は忘れてもらったほうがいいという話をしていきます。
やっていることはブレーキなどの足回り系の話
ゲーミングマウスパッドがやっていることはバイクや車の足回り系の要素です。
足回りなので、ブレーキ系、サスペンション系、タイヤなどの話になってきます。
ゲーマーの方でもバイクや車が好きな方は多いと思うので、そういった方たちは持っている知識をゲーミングマウスパッドに置き換えて考えるだけです。
特にブレーキ系とリンクしている
ゲーミングマウスパッドは特にブレーキ系と同じ働きをしています。
バイクや車はブレーキローターにブレーキパッドを押し付けることで摩擦抵抗を発生させて減速をします。つまり圧力を加えることで十分な制動力を得ます。
マウスパッドの場合、生地はブレーキローターに置き換えることができます。ソールがブレーキパッドですね。
マウスパッドにソールを押し付けることで摩擦抵抗を発生させて減速をします。
ここで、勘の鋭い方は気づいたかもしれません。
基本的には摩擦抵抗を発生させていなければ減速はできないということですね。
特性は存在しない
さて、さきほどの項目でも述べたように、特性という先入観は一旦忘れてください。
というのも、摩擦抵抗を発生させていなければ減速はできないからです。
圧力がかかっていることで抵抗が発生する
バランスタイプ、コントロールタイプ、スピードタイプと言われても結局のところは圧力がかかっている時にどれくらいの抵抗感が発生するかという部分ですね。
つまり、極端なことを言うならコントロールタイプでも上から押さえつけるような圧力が一切かからないように動かせるのであれば、抵抗感は軽くなります。
スピードタイプでも上から押さえる圧力をかければ抵抗感が発生します。
ということになるので、特性というよりもどれくらいの圧力で操作することを想定しているマウスパッドなのかということを考える必要があるということですね。
人によって押さえる力は異なる
さて、そんな特性を忘れてから考えたいことですが、どれくらいの圧力で操作するのかという話ですね。
ここが鬼門です。ぶっちゃけ数値化が絶対にできないところなので、結局のところいろいろ買って試すしかないわけです。ただ、選定するうえでおさえておくポイントは確実にあるので、今までのように沼ることはありません。
操作で異なる圧力
まず、操作のしかたで圧力が異なります。
たとえばADSもせず、タップ撃ちしかしないゲームでは、プレイ中にかかる圧力はしれたものです。しかし、ADSホールドをしながらフルオートでワンマガジンを撃つゲームではそれなりに圧力がかかってきます。
プロプレイヤーの使用デバイスからも、求められるマウスパッドの傾向がわかりますね。
圧力がかからないゲームではいわゆるコントロール系、圧力がかかるゲームではいわゆるスピード系の採用が目立ちます。
しかし、中には圧力がかかるゲームでもいわゆるコントロール系のマウスパッドを採用するプロも存在します。意外に思える方もいるかもしれませんが、脱力した操作をしているためできることなのです。
脱力した操作ができるのであればいわゆるコントロール系でも問題はありません。つまり、特性から選ぶというよりも自分がどれくらいの圧力をかけたいのか知ることが大事です。
持ち方で異なる圧力
また、圧力はマウスの持ち方でも異なります。
かぶせ持ちのような手や腕の重さがマウスにのしかかったような持ち方では当然、力んでいなくでもマウスパッドに圧力がかかります。つまみ持ちはその逆ですね。
もっと言うと、肘を伸ばすかどうかでも手首の浮き具合も変わってくるため、前傾姿勢なのか後傾姿勢なのかでも自ずとマウスパッドに加わる圧力は変わってきます。
サグ出しの応用
バイクのサスペンションでは、出荷状態では個々のライダーの体重に適応できないため、自分にあったサスペンションセッティングを行います。それをサグ出しと言います。
ライダーがバイクに乗っていない状態を1G、乗った状態を1G‘として、考えます。ライダーが乗った状態を適切なサスセッティングにしたいので、1G‘のセットアップをしていきます。
マウスパッドも同様に、実際に操作する人が実際に操作する姿勢でのセットアップをしてきたいところです。
表面素材よりもクッション選定を行う
マウスパッドの主役というと、表面素材と思う方が多いと思います。
しかし、足回りの設定というのはサスペンションセッティングがメインだったりします。サスペンションというのはライダーのスキルによって大きく変わります。ブレーキタイミングであったり、ブレーキの調整のしかたであったり、加速時のアクセルの開け具合であったり、ライダーのスキルに大きく依存してくるからです。
ブレーキローターやブレーキパッドは極端に粗悪品でもない限り純正でも問題無かったりします。
つまり、マウスパッドも同様に、クッションの選定をメインで行ったほうがいい結果が得られるということです。表面素材は極端なことを言ってしまえば、センサーの読み取りエラーが起こらない限り、耐久性、耐湿性と肌触りで選んでしまってもいいんじゃないでしょうか。
クッションの考え方
クッションの考え方は単純です。実際にどれくらいの圧力負荷に耐えてほしいのかです。
硬いクッションは強い圧力に耐えます。柔らかいクッションは強い圧力に耐えられません。
ここで重要なのはどちらが良いかではなく、どういうふうに使うかです。
サグ出しの項目でも述べたわけですが、実際にどれくらいの圧力で操作をするのかを考えます。
単純に一定の速度で大きく動かしつづけるのであれば、クッションが仕事をしないので、硬いクッションでも良いはずです。しかし、不規則な速度で加減速も行う場合、硬いクッションは剛性が高すぎます。
柔らかいクッションを脱力して操作し、必要時に押し付けるような操作ができるのであれば、ある程度柔らかいクッションを採用したほうが表現力が高くできます。
マウスの重量も考慮
最近では超軽量なマウスがたくさんリリースされています。
この記事を読んでいる方も50g台のマウスを使用しているんじゃないでしょうか。
軽いと止めにくい?
さて、巷では軽いマウスは止めにくいという話をよく見ます。
それはつまりこういうことです。
マウスの重量に対してクッションの剛性が高すぎる。
軽いマウスにしたのに、クッションの剛性が高すぎるのであれば、そりゃ十分な減速は期待できません。
バイクに置き換えるとサスペンションがカッチカチで沈められない状態です。サスペンションが縮まなければタイヤも潰せないため、十分な路面へのグリップは得られません。
それと同じことがマウスでも起こっているのです。硬いクッションのままでは、マウスが軽くなっているため押し付ける力を強くしなければ止められないのです。
マウスを変えたのであれば、クッションも変更すべきだと考えます。
軽いマウスは止まる
クッションの硬いマウスパッドでは止めにくさを感じるかもしれませんが、軽いマウスはツルンツルンなマウスパッドでも慣性モーメントの影響を受けにくいので止めやすいです。
マウスが軽くなったのであれば、重いマウスではできない脱力操作ができるため、マウスパッドのクッションに頼らずとも表面素材の抵抗感だけで止めることもできます。単純に重たいマウスの操作癖を辞める必要もあるということです。
重たいマウスだと止まらねえ!とタンスの肥やしになっているマウスパッドがあれば、是非試してみてほしいです。
大事なのは使い方
そんなわけで、結局のところ重要なのは使い方ということです。
バイクでサーキットに行くと、自分のバイクよりも明らかにスペックが劣るバイクでもぶっちぎってくることなんてよくあることです。直線で抜けてもコーナーで差をつけられます。
最終的には何を使うかよりもどう使うかですね。
表現力を上げたいなら
表現力を上げたいなら、マウスパッドの表面素材は固定して、クッションだけを交換することをおすすめします。
クッションが変われば、圧力による変化をもたらせます。圧力の変化をもたらせるようになれば、操作に変化をもたらせられます。
完全に脱力して操作をするなら表面素材で十分な止め性能を得られるマウスパッドがいいです。
臨機応変な加減速がしたいのであれば、脱力した操作から力んだ操作を活かせるように、クッションに個性を持たせたマウスパッドがいいです。
つまるところArtisan
結局のところ何を買うんじゃいという話になりますが、圧倒的にArtisanです。
表面素材が気に入ってもクッションの変更ができないのであれば、単純に操作を細かく調整するしかありません。その操作に自分が順応できればいいんですが、プレイヤースキルに依存してきます。
プレイヤースキルにムラがあるのであれば、クッションの変更が必要です。また、軽いマウスに変更したいのであれば、クッションの剛性、潰しやすさも考慮する必要があります。
バイクもスピードが出せるようになったら柔らかいサスから硬いサスへ変更していきます。重たいバイクのサスをそのまま軽いバイクに流用すると硬すぎて使えません。
同じことをマウスパッドでも行えたほうがプレイヤーに寄り添うプレイが期待できます。
同じマウスパッドをクッション別に買うことに抵抗があるかもしれませんが、マウスパッドを購入することは目的ではなくゲームをうまくなるための手段として考えるなら、大いに有効な手段であると考えます。
個人的におすすめなのはArtisan 雷電 XSOFTです。表面素材は耐湿性が高く、柔らかいため、クッション変更の影響を大きく受けます。また、クッションも沈みやすく戻りも早めなため、沈みすぎて使いにくいということもありません。クッションも用いた加減速を行うならマストな逸品です。
軽量なマウスを脱力して表面素材のみでコントロールするならArtisan 疾風 乙 SOFTです。60gのマウスでも切り替えした時にマウスの重さでツルンツルンしますが、50gのマウスでは振られる感覚が無いため適度な止めやすさを感じることができます。
もし、5,000円のマウスパッドを3枚ガチャしようと思っているなら、管理人はクッションが変えられるArtisanが合理的だと考えます。