LEWITTから販売されているCONNECT 2についてレビューを行っていきます。
お手軽に音質のクオリティを追求するなら、CONNECT 2はぴったりの製品かもしれません。
CONNECT 2 イチオシポイント
- 簡単な手順でハイクオリティなセッティングにできる
- 良くも悪くも調整できることが限られている
- スタイリッシュな外観
結論から述べてしまうと、DSPを搭載した配信向けオーディオインターフェイスのなかでも、満足できるクオリティの音質で『デノイザー』を利用できる製品がCONNECT 2です。つまり、デノイザーに価値を見出せるかどうかがひとつのポイントになってくると思います。
その他の点についてはHPにも紹介されているまま、予想通りな部分がほとんどです。良い意味で、気になっているなら『買い』の製品です。
配信で使うなら、ほんとにちょうどいいなあと思う部分がたくさんあります。
CONNECT 2って?
CONNECT 2は表示された手順に従ってセットアップを行うだけで、ハイクオリティな音声を利用できる『オートセットアップ』機能が最も特徴的なオーディオインターフェイスです。
それ以外にもDSPを搭載しているため、ローカットフィルター、クリップガード、プリアンプモード、ノイズ除去、コンプ、オートゲイン、オートセットアップのDSP設定をコントロールできます。
また、マイクゲインは最大72dBです。低感度なダイナミックマイクでも十分な音質と音量を確保できます。
低インピーダンスイヤホンのモニタリング時も低ノイズなゼロオームのヘッドフォン出力、ハイインピーダンスのヘッドフォンでも音量が確保できるハイインピーダンスモードも備えています。
もちろんこの設定は本体だけでなく、専用ソフトウェア『CONTROL CENTER』でコントロールが可能です。特徴はいかにも現代的なオーディオインターフェイスという具合で、バランスの良い製品ですね。
その他の細かいスペックは製品ページを確認してみてください。
購入した理由
なぜ購入したかについてですが、
それは製品の発表時点で以下のような好印象を持ったからです。
- 『デノイザーが使えるから』
- 『プリアンプ特性が変更できるから』
まず、デノイザーですよね。ファンノイズやハムノイズなどのバックグラウンドノイズを消し去ってくれます。
そして、不意の大音量に耐えてくれそうなクリップガードです。地味に便利です。
さいごにプリアンプ特性についてですが、プリアンプ特性を簡単に変更できるオーディオインターフェイスってめっちゃ少ないんです。いまのところ10万円以上のオーディオインターフェイスの機能なんです。
UADやRMEやApogeeのエエやつになると弄れる機能です。それが3万円台のオーディオインターフェイスで使えるというのは素晴らしすぎやしませんか?
これにどんな魅力を感じているかについて説明すると長くなるので後で説明します。
どうですか?欲しくなりましたよね?
購入したCONNECT 2をチェック
それでは毎度おなじみ島村楽器で購入したCONNECT 2をチェックしていきます。
簡素なパッケージやらなんやら
外観をチェック
平べったくモダンなデザイン
音声サンプルと傾向のチェック
それでは実際に録音してみたサンプル音声を聞きながらのチェックをしていきましょう。
音声サンプル
Shure SM7dBで録音した音声です。
- マイク距離は口元から1cm~2cm程度
- 口の脇からマイキング
- ローカット、クリップガード、デノイズ、コンプを有効
キーボードの打鍵音こそ聞こえますが、不要な打鍵振動やファンノイズは聞こえてきません。
音質は自分の環境だと高域が大人しめだと感じました。モニターにはMDR-MV1を使用しています。
高域がマイルドな分、サシスセソのような歯擦音やリップノイズなどの耳につく嫌な音がしにくいです。その反面、高域がマイルドなぶん、低域の音抜けについては課題が出る人もいるかもしれないという印象を持ちました。とはいえ、マイクと声質次第になってくる部分が大きいですね。
内蔵プリアンプを使わずに録音してみましたが、ゲイン、音量どちらも余裕があります。デノイズを有効にすると無音時のサーというノイズが消えるので、ダイナミックマイクでもインラインプリアンプを使ってS/N比を大きくしなくてもいいかもしれません。
自分の環境では、ダイナミックマイクを使うと近接効果で声がこもってしまいがちなので、ローカットを有効にしました。
オートセットアップを使って設定してみましたが、手順に沿って設定していくだけでよかったです。
オートセットアップで設定してもCONTROL CENTERから調整できるので、いつでもいろんなパターンを試せます。
デノイザーが思った以上に便利
デノイザーがあると便利です。
CONNECT 2のデノイザーはちょっとゲートっぽいんですが、マイクで測定して実際に拾っているであろうバックグラウンドノイズを抑制してくれます。オン (測定モード) かオフかの二択なので、マイクゲインが正しく設定されていれば誰でも使いこなせます。
便利だと思った理由についてですが、配信でもなるべく音声を聞き取りやすくするために、音量差の少ない一貫したボリュームにしますよね。マストな処理だと思っています。 (ダイナミックレンジを狭くする)
音量差を無くすためにはコンプレッサーを使います。大きい音を均してくれます。 (スレッショルドとレシオの話は割愛)
大きい音を均せるということは、大きめの声でクリップ (音割れ) しにくくなるということです。大きい音でコンプが効くなら、小さい声を持ち上げる目的でクリップするギリギリまでマイクゲインを大きくできるようになります。そうすると大きい音と小さい音の音量差を少なくできます。ダイナミックレンジが狭くなります。
コンプを使ってゲインを大きくするだけでも一貫したボリュームになるので、とても聞き取りやすい音声になります。
ただ、最低音量が大きくなるということは、小さかった音も大きくなってしまうということなので、PC配信だとPCのファンノイズ、バックグラウンドノイズも持ち上がってしまいます。そこで活躍するのがファンノイズを除去できるデノイザーというわけです。
つまり、あると便利です。しかもDSPで動いてくれます。
VSTプラグインをASIOを使ってリアルタイムで処理するという手もありますが、どうせなら一括で管理した方がめんどくさくなくていいです。オーディオインターフェイスのDSPの方が操作性も良いことが多いです。
3万円台だとCONNECT 2くらいしかありません。
お気に入りの設定
声質次第ではありますが、中高域に特徴のあるマイクと相性がいいかもしれません。
SM7dBのプレゼンスブーストを有効にして中域を強調し、プリアンプ特性をWarmにすると、自分の基準としている音に最も近づきました。モコッとしているものの暖かくて音抜けの良い音声です。ローカットは使っています。
イヤホンやヘッドホンだけでなく、スピーカーで聞いた時も声の輪郭が分かりやすい音になってくれていたので、自分が使う場合はこの設定になると思います。
他にもモダンな周波数特性を持っているダイナミックマイクと相性が良いんじゃないかと睨んでいます。個人的にはSE electronicsのDynaCaster DCM8がアッサリしていて嫌味のない音になってくれました。
低価格帯ならRODEのPodmicもかなり相性が良いと思います。
まとめ
CONNECT 2についてレビューを行ってきました。
配信用途でXLR接続のマイクをラフに使うなら、とても良い選択肢になるオーディオインターフェイスです。ミュートもやりやすいので、そういう需要も満たしてくれるんじゃないでしょうか。
おすすめできるのはこんな方
- そこまで機材に興味が無い
- 大きい声でも歪まないようにしつつ音量は揃えたい
- 外観の良さを重視している
ローカットは帯域を選択できないのと、コンプもスレッショルド、レシオ、ゲインを調整できませんが、イイ感じに効いてくれます。機材に詳しくなりたいわけではないし、そこまで設定に興味が無いという方にはかえって良い製品になっているんじゃないでしょうか。
印象そのまんまですが、インターフェイス+コンプとデノイザーが欲しいという方にベストマッチです。
自分の場合はSM7dBだとローカットを有効にしても音抜けが悪かったので、低域の音抜けを改善するためにあれこれ試してみましたが、ぶっちゃけ現代的でフラットな音作りのマイクを使った方が手っ取り早いという結論に至りました。プリアンプ特性は変更できてもEQは使えません。声質的に近接効果がネックだと思っているなら、ハイパスの帯域が選択できる製品を選んだ方が無難ですね。
今だと、配信用途なら約4万円で購入できるShure MV7+ (DSP搭載のオーディオインターフェイスを内蔵) が性能的にも音質的にもかなり強いので、4万円以上のXLRマイクを使っている方から価値が出てくるオーディオインターフェイスなのかなと考えています。ただ、RODE Podmicのようなスイートスポットのマイクもあったりもします。しかし、出費を抑えたいとなるとXLRケーブルが不要なMV7+の方が無難ですね。
クリップガードは急に思いっきり叫ばなければちゃんと緩やかに効いてくれますし、コンプを効かせてゲインを大きめにしておいてもクリップしにくいです。適当に設定しただけでも一貫した音量の音声が利用できます。さらにデノイザーがサーサー音やファンノイズをイイ感じに処理してくれるので、ノイジーで聞きにくい音声にはなりません。
また、ちょうどいい音質というのは、特に低域の量感については、聞き手がどのデバイスで聞いているかにも左右されるポイントなので、音作りをするならなるべく定番のモニター環境は揃えておいたほうがいいところではありますね。
そこまで高価ではないオーディオインターフェイスなので、一緒にモニターヘッドホンを買うなんてのはどうでしょうか。ヘッドホンアウトの音質も悪くありませんよ。
ココが良い
- デザインが良い
- オートセットアップが便利
- デノイザーが便利
- ソフトが使いやすい
- ループバックも使える
ココはイマイチ
- 意外とタッチパネルは操作性が悪い
- ローカットはオンオフのみ
- EQは使えない