【ULTRASONE Signature PURE】レビュー。FPSゲーム向けで提案したい神ヘッドホン

ヘッドホンレビュー

ULTRASONEから販売されているSignature PUREについてレビューを行っていきます。

ヘッドホンは数あれど、物理的に音場や定位などの聞こえ方を工夫した製品というと『ULTRASONE 一択』ということを思い知らせてくれるヘッドホンです。

Signature PURE イチオシポイント

  • 周波数特性以外で音場にアプローチしたサウンド
  • S-Logic® 3とDDFによる掴みやすい定位
  • 見た目がめちゃくちゃかっこいい

結論から述べてしまうと、物理的な構造のアプローチでサラウンドサウンドを実現したヘッドホンです。

パッシブでも立体的にサウンドが聞こえるため、音域を広く作ってある楽曲はまるで頭の外で鳴っているかのような感覚が得られます。音場や定位の掴みやすさが重要なFPSゲームでも超実用的です。

このすべてをS-Logic® 3とDDFというパッシブな独自技術で再現しています。ソフトウェアでサラウンドサウンドを実現しようとする製品は多いですが、ハード面でサラウンドを実現する製品は多くありません。

それでは詳しくチェックしていきます!

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Signature PURE

Signature PUREはSignatureシリーズのエントリーモデルです。

Signatureシリーズは最上位のMaster、DJ向けのPULSE、そしてエントリー向けのPUREがあります。

いずれもS-Logic® 3とDDF (Double Deflector Fin) 技術を採用しており、空間的な表現、部屋の音響特性に影響されないサラウンドサウンドを実現できるようになっています。

また、全てメイドインジャーマニーです。ドイツの指定職人によるハンドクラフト製品になっています。

楽曲制作ではとても人気な製品で、Masterシリーズは人気すぎて供給が追いつかず、予約を一時停止しているほどです。

スペック

Signature PURE
型式密閉ダイナミック型ヘッドホン
独自技術S-Logic ® 3テクノロジー
電磁波低減LEテクノロジー
ドライバー50mmマイラー (ドライバー)
インピーダンス32Ω
再生周波数帯域8 Hz– 35kHz
出力音圧レベル114B
重量約294g(ケーブル含まず)
付属品2m着脱式カールケーブル3.5mmプラグ
6.3mm変換プラグ(ネジ式)
イヤーパッド(スエード製/装着済み)
キャリングバッグ

購入した理由

このブログの読者さんは知っていること?と思いますが、管理人は新しい物好きです。

そしてムダが無く合理的で実用的な工夫をしている製品にはとても強い興味関心を持っています。

Signatureというと、やっぱりDTMをやっている方の多くが勧めている製品なので存在は知っていましたが、価格も10万円超えというプロ向け価格なので、自分の出番ではないと思っていました。

そこで発表されたのが、Signature PUREです。発表自体は6ヶ月くらい前だったらしいんですが、発売直近でその存在を知りました。

そこで製品仕様をいろいろみていると、

S-Logic® 3?DDF?あれ?これ音楽聴くだけじゃなくてFPSゲームの本命くさいぞ?

といつものように嗅覚が反応したわけです。

この世には面白いことにターゲット層が違うというだけで、あんまり知られていない優れた製品というものが多くあります。

ゲームだとわかりやすいんですが、『ゲーミング』と謳っている製品じゃないとゲームでまともに使えないんじゃないか、という心理的障壁があることと思います。まったくもってそんなことは無いんですけどね。

今回がまさにそれです。それを確かめたくて自腹購入したわけです。

届いたSignature PUREをチェック

どうしても発売日の当日から試したかったのでヨドバシカメラで発売日にお届けかつ、運送会社をヤマト運輸にして午前中配送してもらうというライフハックをしました。

バルクということらしいパッケージ

Signature PUREはバルクパッケージになったということらしいんですが、プロ向け製品に慣れている方からしたらバルクとは?となるくらいまともなパッケージでした。

イヤモニやマイクやケーブルとかオーディオインターフェイスをたくさん買っていると、中身が良ければなんでもいいわという心理になっていくので、一皮向けた方に向けた製品ということにしておきましょう。

裏面にはMADE IN GERMANYの文字があります。

バルクパッケージになってもドイツで作られている製品です。¥33,000の製品でもしっかりドイツ製です。

付属品

箱の中には梱包材や緩衝材は入っておらず、ソフトケースの中に製品が収められていました。中はベロア素材でもふもふしていて気持ちいいです。

同梱物

  • 2m着脱式カールケーブル3.5mmプラグ
  • 6.3mm変換プラグ(ネジ式)

付属品はケースとケーブルと標準プラグという潔さがあります。標準プラグは装着済みでした。

外観を詳しくチェック

ここからはSignature PUREの外観を詳しく見ていきます。

工夫を凝らした重厚感のあるデザイン

Signature PUREは他のSignatureシリーズと異なり、金属のプレートは装備していません。それでも樹脂製の作り込まれたデザインを採用しているため、安っぽさは一切感じられません。

オールブラックでツヤのある部分がほぼ無いので、かえってこの方が無骨で良いと思う人も多いんじゃないでしょうか。

個人的にも一般的なヘッドホンには無いようなハードな見た目がとても気に入りました。

スエードのヘッドパッドとイヤーパッド

Signature PUREはエントリーモデルですが、表革の合皮のように加水分解しない高耐久性のスエードを採用しているため、すぐボロボロになることは無さそうです。表革が使われているのもイヤーパッドの取付部分だけです。

ヘッドパッドも外側はスエードになっています。内側はメッシュになっていて、中央部分は頭頂部と密接しないように少し段差が設けられています。

モニターヘッドホンにありがちな、短時間の着用しか想定していなさそうな装備にはなっていません。

使用感

ここからはSignature PUREの使用感についてチェックしていきます。

厚めのイヤパッドが特徴的

Signature PUREのイヤパッドはそれなりに厚めになっています。そのため遮音性は比較的高くなっています。

超柔らかくてフカフカというよりは少し芯のある感じです。

使っていくうちに思いましたが、遮音性や着用感のためというよりは音質調整の役割が一番強いように思えます。材質が少し芯のある感触なのもイヤパッドに音を跳ね返すためなんじゃないでしょうか。

つけ心地としては、汗でペタペタする感じが無いので長時間使っていても嫌な感じがありません。

簡単に動かせるスライダー

頭に装着したあとでも簡単にカチカチ動かせるスライダーになっています。

けっこう簡単に動くので、お気に入りのポジションを固定というよりは、頭に合わせて適当に調整するみたいな使い方になっています。

賛否が分かれそうなポイントだと思いました。

実質的に側圧も決まるところなので、若干ですが聞こえ方も変わってきます。個人的には自分しか使わないので常に同じ位置に固定されていると嬉しいです。

音質

ここからは音質についてチェックしていきます。

音については好みがあるので、管理人の好みも紹介しながら解説していきます。

はじめに簡単な特徴を挙げておきます。

  • 広がりのある低域が特徴
  • 全体的に刺激の少ないソフトな音質
  • 高域の鋭さや明瞭感は少なめ
  • 音抜けと分離はとてもいい

とにかく広く感じる音場

Signature PUREは縦横前後の音場が広く、センターに振り分けられた音が前方に定位するようになっています。これが最大の特徴です。

特に音域の広い音源と相性が良いです。耳を覆うように鳴っているように感じられます。その反面、音域が狭い音源がこじんまりと聞こえてしまってチープに感じてしまいます。

上位機種と同じようにS-Logic® 3とDDF (Double Deflector Fin) を採用しているからなんですが、メーカーや代理店の紹介文にもあるように売り文句そのままです。

また、付属のケーブルが秀逸なようで、ケーブルを変えると定位が変わります。ATH-M50xのストレートケーブルは1.2mのものを使うと高域寄りになり、低域が腰高になりました。3mのものを使うと周波数特性は近くても低域の広がりが失われました。

ダンピングファクターの影響を受けやすいと思うので、アンプや再生機器等の環境によっても聞こえる音が変わりそうな気がしますね。

イヤパッドでも定位を繊細にコントロールしています。押し付けると音場がとても狭くなります。ストック状態でバランスがかなり良いようです。

鼓膜に直接音を届けずに、外耳に当ててから届けるというコンセプトです。そのため耳の形によっても音の感じ方が変わってきそうな気もしますね。

イメージしにくいので具体的な例を挙げていきます。

とくに特徴を感じるのは低域

低域の縦の音場はとても広く感じます。音源にもよるんですが、楽曲ならベースの音域が広めでセンターに振ってある場合、顔の前方に低域が定位します。

そして、頭上から降ってきているように頭の上から胸くらいまで鳴っているように定位して聞こえます。よっぽど腰高な低域にしている楽曲を聞かないかぎり、腰高な印象はまったくありません。

管理人のお気に入りの音楽プロデューサーであるMUTEKI DEAD SNAKEさんの楽曲は全てそんな風に聞こえて面白かったので、ずっと同氏の作った曲ばかり聴き込んでしまいました。

最近では、超ときめき♡宣伝部の楽曲を多く手掛けています。超おすすめです。

シンセが多めだったり歪んだギターをブリッジミュートでザクザク刻むバッキングが特徴です。けっこうやっていることがアイドルの楽曲らしくなくて面白いんです。

MUTEKI DEAD SNAKEさんの楽曲は低域の音域が広いため、特に相性が良いように感じました。

そんなわけで、楽曲を聴くならSignature PUREは低域の質感的にも、自分の好みにミキシング・マスタリングされた曲を聞きがちになるのでは疑惑が生まれます。

音域が狭い楽曲だととてもチープに感じます。Signature PUREは音場が広いはずなのに使い切れていないみたいな感覚が生まれます。

良いのか悪いのかと聞かれれば、なんとも言えないところでもありますが、そうは言ってもその問題はどんなヘッドホンでも付き物であったりしますよね。

高域はけっこうソフト

Signature PUREの高域は良い意味でソフトです。

ATH-M50xのようなモニターヘッドホンらしいバキバキ超高解像度かつ、きらびやかで硬くて派手みたいな音を想像していると面食らいます。管理人はてっきりバキバキ系かと思っていました。

これは量感と定位の広さが特徴的な低域に負けているというわけではなく、長時間の使用を考えた結果こうなった感のある質感に思えます。

しかし、定位の良さ、高域の位置関係が良いからか自然に聞こえます。ストリングスが伸び伸びして聞こえるくらいの量感です。

超高域が出ていないというとそうなんですが、低域とごっちゃにならずしっかり分離はしますし、女性ボーカルのサシスセソのような歯擦音は刺さるかどうかギリギリまで出ています。

そのため、歯擦音のチェックにも使えるようになっています。音声録りにも使えると思いました。

管理人も配信向けマイク音声の音作りについて発信しているんですが、その音作りのチェックでも普通に使えます。このヘッドホンで刺さったらやりすぎだぞと思えます。

また、高域の定位についてですが、シンバルのようなTHE・高域をセンターに振ってある楽曲を持っていなかったこともあって、完全に前方で定位して聞こえることはありませんでした。

基本的には左右どちらかに振ってあるなら、斜め前方 (左に振ってあったら左前方) から聞こえます。

上下の位置も耳から上の位置に広く定位してくれます。高域の音場も広いです。

またしても、音域の広さ・狭さや、どんなふうにミキシング・マスタリングされたかによって得られる定位は変わります。

中域はけっこう出てる

Signature PUREの中域は楽曲にもよりますが、かなりハッキリと聞こえます。ドンシャリにミキシング・マスタリングされている楽曲がちょうどよく聞こえるレベルです。

とくにコーラスの存在感がかなりあるように聞こえます。

しかし、これがSignature PUREの良いところだと言えるんです。空間系の表現が素晴らしいです。広さを感じるのはこの中域のおかげだと思います。

メタルとかを聞くと分かりやすいんですが、芯が残っていながら存在感のあるコーラスの質感や厚みのあるボーカルを楽しむことができます。ギターサウンドも中域が削られた息苦しい音にならないため、芯の残った歪みサウンドを楽しむことができます。

温かみを感じるギリギリの音色だと思うんですが、もともと解像度が高いこともあってハッキリと楽曲の中で分離します。つまらない音では無いので、是非この音に慣れてほしいとリクエストしたいですね。

中域は楽曲でもメインの音が集中しているので、他の楽器と被る邪魔な部分以外は、けっこう音域を広く残してあることが多いです。残されているとそれがいかんなく全て聞こえてくるみたいな感じです。

定位はセンターに振ってあるならやっぱり顔の前から鳴っているように聞こえます。同じ音域のギターも左右に振ってあることが多いですが、斜め前方から聞こえてきます。

シンセやボーカルの音が前から鳴っているように聞こえるのでかなり面白いです。シンセはおでこの位置くらいに鳴っているように感じますが、ボーカルはおでこから喉くらいまでの位置に鳴っているように聞こえます。

ちなみにイヤパッドを押し付けると中域の音場が激狭になるので、イヤパッドがかなり仕事をしている部分なようです。

ゲームで使ってほしい

音場の広さだけでなく、この音 (周波数特性) はゲームの音の聞き分けに向いています。

音場が広くて解像度が高い

もうズバリおすすめとしか言う事が無いんですが、音場が広くてもムダに広がりすぎず、しっかりと鳴るべき位置で鳴ってくれるのでSignature PUREはFPSゲームに向いています。

最近のFPSゲームも、バンドサウンドのようにかなり音域が広くてワイドレンジな音作りです。極低域から超高域までいろんな音で構成されています。極端なことを言うとFPSゲームのサウンド=バンドサウンドです。

つまりバンドサウンドの聞き分けが簡単にできるヘッドホンに適正があります。

そして、Signature PUREの特徴として、センターに振ってある音は前方から聞こえます。ゲーム内でセンターに定位した音が前方から聞こえるということです。

ゲーム内だと顔の向き・視点移動をして索敵を行うと思うんですが、要は前方の音を聞き分けようとしているわけですよね。誰しも無意識的に前方をメインに索敵していると思います。それがより洗練されるということです。

後ろから鳴っている音もセンターで鳴った時は前方気味に聞こえるんじゃないかと思うかもしれませんが、さすがにそんなことはありません。もともと耳の前後を包み込むような鳴り方が特徴のヘッドホンなので、後ろからの音はきちんと後ろの音として強調してくれます。

前方からの音がより前方に定位するだけです。特に前方左右からの銃声が前方に定位しやすくなるので、視覚だけでなく銃声での位置の特定がしやすくなります。

Signature PUREの解像度や聞き分け能力を10としたとき、イヤモニは1か、よくて3です。1000ドルを超えてこないと同じ能力にはなりません。

イヤモニの場合、物理構造にも限界があるため、同じように耳の外で鳴らさないとSignature PUREの定位は再現できません。

またヘッドホンやヘッドセット等でも、物理構造でアプローチしている製品はSignatureシリーズくらいです。Signature PUREでしか得られない定位があります。

まとめ

Signature PUREについてレビューを行ってきました。

低域から中低域がけっこう出ているのでモニター用途に使えるか?と聞かれるとなんとも言いにくいかもしれませんが、歯擦音のチェックはできるようになっています。

また、低域が多めでも全ての音が分離します。中域のおいしいところが全て見通せるようにはなっているので、パウブロではなにかしらのモニター用途でも使っていくことになります。

おすすめできるのはこんな方

  • 鋭い高域は求めていない
  • 中域と低域の分離と広さが欲しい
  • 独特な定位のヘッドホンが欲しい

FPSゲーム向けにありがちな極端なイコライジングによる周波数特性での定位やモニターしやすさに特化した『やりすぎな音』からかけ離れた『ナチュラルな音』ですが、ぶったまげるくらい定位が良いです。

また、ソフトさもあるナチュラルな音でも解像度はとても高く、全てのパートがはっきりと分離して聞こえます。

音量を上げまくるとさすがに硬さが出てきますが、それでも音量をかなり上げていける聞きやすさを持っているため、目的の音を聞くために他の音がうるさすぎて音量が上げられないということはありません。

センターに振ってある音が前方から聞こえてくるような感覚が生まれるので、好みが分かれそうなポイントだとは思いますが、Signatureシリーズはそこが特徴です。

エントリーモデルのSignature PUREは¥33,000 (執筆時点) でもドイツ製です。エントリーというには少し高いと思う方も多いとは思いますが、相応なクオリティーをバルクパッケージで限界までコストダウンしたというヘッドホンです。

音質や定位を求めるなら音楽だけでなく、ゲームも高解像度で楽しむことができますよ。

ココが良い

  • 音に指向性が感じられる
  • 低域の広がりが楽しい
  • 音の分離がとても良い
  • つけ心地が良い
  • 見た目と質感がかっこいい
  • 耐久性のある素材を採用

ココはイマイチ

  • カールケーブルのみ付属
  • スライダーのノッチが柔らかい
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この記事を書いた人
komugipowder

元イネ科アレルギーのkomugipowderです。ゲーミングPCの周辺機器・配信用機材・ガジェットのレビューをしています。みっちり愛を込めて使い込むことをモットーとしたレビュー記事を書いています。配信機材は分かりにくい製品が多いので、設定方法や困りごとの解決・お役立ち情報も発信しています。広告収入を活動資金にして運営しています。

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