BenQから販売されているZOWIE EC3-Cについてレビューを行っていきます。
ゲーマーにはド定番のマウスを多くラインナップしているZOWIEですが、左右非対称マウスカテゴリーの『EC』シリーズが『EC-C』シリーズとして現代的なスペックへと刷新されました。
今回はベンキュージャパン様からXL2546Kと一緒にEC3-Cも製品提供していただけたので、実際にEC3-Cに触れながら使い心地を詳しくチェックしていきます。
ZOWIE EC3-C イチオシポイント
- 軽量ボディで激しく振り回しても制御しやすい
- 十分実用的な柔らかいパラコードケーブル
- 明確な操作感の24段階のスクロールホイール
結論から述べてしまうと、EC3-CはECシリーズを象徴する、右手に特化したエルゴノミクスデザイン形状ではあるものの、実際に触ってみるとサイズ感が非常に秀逸で操作の自由度が高くなっています。手首での視点移動操作も多用しがちな現代的なゲームにマッチしやすく、汎用性の高いマウスとして提案できる素性の良さがあります。
『掴み持ちで強いフィット感が欲しい!』『左右非対称形状でも手首の可動域を制限されたくない!』というゲーマーには、なかなか代えの効かないマウスのひとつになるかもしれません。
とりあえずざっくりとした解説はこの辺にして、早速詳しくチェックしていきましょう!
ZOWIE EC3-Cとは
EC3-Cは、日本人の手のサイズに合わせて少し小さめに設計し直されたEC形状のゲーミングマウスです。
さらにEC-Cシリーズとしての展開ということで、従来のECシリーズから以下の変更点があります。
EC-Cシリーズの新しくなったところ
- 軽量化
- パラコードケーブル搭載
- 24段階のスクロールホイール
ZOWIEのゲーミングマウスではお馴染みの「3360センサー搭載」「プラグ&プレイ(ドライバーインストール不要)」「400、800、1600、3200 DPIの調整が可能」「125、500、1000 Hzに調整可能なUSBのレポートレート」という点は、従来モデルから引き継がれています。
EC3-Cのスペック
BenQ ZOWIE EC3-C | |
形状 | 左右非対称 エルゴノミクス |
サイズ | 119mm×66mm×41mm |
重量 | 70g (ケーブルを除く) |
センサー | Pixart PAW3360 |
接続 | 有線接続 |
ケーブル | パラコードケーブル |
DPI | 400、800、1600、3200 |
ポーリングレート | 125/500/1000 Hz |
EC3-Cを選んだ理由
実を言うと、管理人はゲーミングPCデビューをした当時からワイヤレスマウスを使ってきてしまっていて、ZOWIEのマウスはおろかワイヤードマウス自体も使ったことがない管理人なんですが、ZOWIEのマウスで形状的に気になる製品がありはするものの、今から従来モデルを買おうと思うとスペック的に少し躊躇する要素が多かったりします。
その要素というのは主にゲーマーのコミュニティでは要交換とされるケーブルであったり、重量であったりですね。
そんな中で現代向けにリニューアルされたEC3-Cが発表されたわけです。ようやくワイヤレスマウスに慣れた自分でも試せそうなスペックで新モデルが登場したのでレビューをさせていただくことになりました。
届いたEC3-Cを開封していく
それでは届いたEC3-Cを開封しながら細部をチェックしていきます。
パッケージ
超絶シンプルなデザインのパッケージです。EC3-Cの輪郭が描かれているくらいで、写真や画像は一切使われていません。
裏面にも詳しい説明とかは一切無いので、かなりコアゲーマー向けであることが伺えます。
側面にはEC3-C Mouse for e-Sportsの文字があります。かなりストイックなメーカーというかポジションというか、余計な装飾はしないという硬派な価値観が伝わります。
同梱物
箱の中から全ての内容物を出して並べてみました。
内容物
- マウス本体
- 替えのソール 一式
- ユーザーガイド
- ステッカー
交換用のソールが入っているので、純正品を使い続けたい方にとってはあると嬉しいものです。
このソールはEC1、EC2と共通形状のコントロール性能重視のソールです。交換用のサードパーティ製ソールもEC1、EC2用が使えるので、多くのソールから自分の好みのものを選べます。
EC3-Cを詳しくチェック
ここからはEC3-Cの外観とデザインや装備について詳しく見ていきます。
シェル全体をチェック
シェルの形状は左右非対称形状で、上から見ても分かる右利きデザインです。
側面から見てみるとちょうどマウスの中央部分が最も盛り上がる形状になっています。マウス後部はなだらかに傾斜しています。
マウス後部から見てみると、左右非対称デザインであることが分かりやすいです。右側よりも左側が盛り上がった形状で、人差し指がフィットしやすくされています。
全体的には軽量ではあるものの穴抜き等がされていない黒の艶消しマウスです。
EC2と大きさ比較
大きさ比較としてEC2シェイプのPulsar Xlite Wirelessと並べてみました。
大きさとしてはEC2をそのままひと回り小さくしたというサイズ感です。
異なる点は、マウス後部の傾斜がEC3-Cの方がラウンドせずストレートに近い形状になっています。そのため、握った時のフィーリングは完全にひと回り小さくなったEC2とは言い切れなくなっています。
握った時のフィーリングの詳細は後述していきます。
コーティングはしっとり系
この画像からも分かるようにEC3-Cを触ると手の跡がけっこう着きます。その分グリップシートを貼らなくても適度なグリップ感が得られます。
マットな質感ですが、ザラザラとした質感ではなく少しペトペトと貼り付くような質感で、手が乾燥しやすい方でも滑りにくくなっています。
しかし、手汗を多くかいたときは滑りやすくなってしまうので、完璧なコーティングというわけではありませんが、バランスが取れているため極端に人を選ばないコーティングではあります。
かなり柔らかいパラコードケーブル
EC3-Cにはパラコードケーブルが搭載されていますが、十分実用的な柔らかいケーブルが採用されています。
ざっくり例えると『ヒモ一歩手前』と呼べる質感で、若干の芯が残っている感じはあるものの、抵抗感や硬さを感じるほどではないクオリティの高いケーブルになっています。
抵抗感を減らすケーブル取付部分
ケーブルの取り付け位置がかなり斜め上を向いていて、ケーブルの引きずり感がほとんど無くなるように設計されています。
マウスバンジーが無くてもギリギリ使えるくらいには引きずり感がありません。秀逸な形状です。
クリック感はカッチリ系
EC3-Cのクリック感はハッキリとフィードバックのある感触です。コチコチっと硬い音が出ますし、その音の傾向のまま、操作感もかなりタイトです。
少ない力で押すことができますが、柔らかくはないので、メインボタンを押す意思が無ければ押されることありません。しかし、メインボタンを押そうと力を加えた瞬間にコチっと押されるスイッチです。
誤って押してしまうということはありませんが、ボタンの沈み込みの遊びがほぼ無いため、メインボタンに置いてある指を常に力んで沈ませているようなプレイヤーは慣れが必要かもしれません。
ホイールはカリカリ系
EC3-Cは新しくなった24段階のスクロールホイールが採用されています。
ホイールを回転させるとしっかりとしたノッチ感と同時にカリカリという音が出ますが、操作感は重さがなく軽快です。ホイールの動作には若干の遊びがあるため、回した瞬間に反応するというというわけではなく、ワンテンポ遅れて反応する印象です。
1ノッチの振り幅が広く、確実に1ノッチだけ操作したいプレイヤーのための調整になっています。
FPSで武器切り替えをホイールに割り当てているプレイヤーでも確実な操作が行えるようになっています。
ホイールの押し込みは固めで、押し込むのに少しだけ力が必要です。ホイールを連続で回しても押されることが無いくらいには固いです。
また、ホイール操作方向の周辺が適度にえぐれていて、ホイールを操作する指がマウスボディに干渉しにくくなっています。
ホイール操作を連続で行うようなプレイヤーとも相性問題が起きにくく、左右非対称形状ではありますが操作性は良好です。
サイドボタンは大きくて押しやすい
サイドボタンはマウス側面に沿うような形状になっており、突出は少なめではありますが、ボタン自体が大きめにデザインされているため押しやすくなっています。
メインボタンとほぼ同じのクリック感でコチコチっと明確なフィードバックがあります。サイドボタンにはわずかに沈み込みの遊びがありますが、力を加えた瞬間に沈み込んで反応するため、操作ミスには繋がりにくいクリック感です。
位置としては少し高めですが、親指を上にずらすだけで押せるような位置関係になっているため、押したい時に押せなくてフラストレーションが溜まってしまうということは起こりません。
ソールはコントロール性能重視
EC3-Cには黒いソールが採用されています。
一応、海外ではZOWIE 純正ソールが販売されているので、そちらの情報を参照すると、特性はControlling Glide、厚さ0.6mmで100% pure teflonという内容みたいです。
コントロール寄りな性能ではありますが、極端に遅さや抵抗感を感じるということもありません。滑り出しもそれなりに軽く、極めてバランスの良いソールです。
形状としてはマウスパッドに対して接する面が多い、所謂『面タイプソール』です。マウスソールをマウスパッドに食い込ませる操作には向いていませんが、安定した均一な滑りが得られることが特徴です。
センサーを囲うようにソールが配置されていて、マウス操作中にマウスパッドが歪んでしまうことによるセンサーの読み取り不良も起こりにくくされています。
ソールのフチもエッジやバリなどはなく丸みをもたせられているため、マウスパッドに引っかかる感じも無く、市販品としては十分実用的なクオリティのソールになっています。
ソフト不要なプラグ&プレイ
EC3-Cは専用ソフトを使わずにマウスのみで様々な調整ができるようになっています。
マウスの裏面のボタンとマウスの各ボタンの同時押しで調整を可能にしています。
調整できるマウス設定
- DPIの変更
- 400、800、1600、3200 DPIの調整が可能
- ポーリングレートの変更 (USBレポートレート)
- 125、500、1000 Hz の調整が可能
- LODの変更
- 低 LOD
- 中 LOD
- 高 LOD
- デバウンスタイムの変更 (クリック応答時間)
- 応答速度 (高速)
- 応答速度 (標準)
DPIの変更やポーリングレートの変更以外にも調整できるようになっているので、マウス単体だけでもかなり幅広い調整ができるようになっています。
初期状態からDPIを自分の好みのものに変えるだけでも、問題なく扱えるようになっています。
使用感
ここからはEC3-Cの使用感と、どんな持ち方と相性が良いのか管理人目線で解説していきます。
管理人の手の大きさはかなり大きめなので参考程度にしてもらいつつも、しっかり持ち方の提案はしていくので是非取り入れてみてください。
結論から言ってしまうと、掴み持ちが最高に安定します。
Sサイズというよりも小さめのMサイズ
手の大きさ20.5cmのビッグハンドな管理人の手のひらに乗せてみました。
ZOWIE的にはSサイズということなんですが、手が大きい管理人でもMサイズ寄りに感じます。
確かにマウスの全長は短めなんですが、幅や高さという点では中型です。
指を伸ばすフォームは相当手の小さい人向け
薬指と小指を折りたたんではいますが、ほぼかぶせ持ちにすると、ビローンと中指がはみ出してしまい、明らかにマウス全長が足りていません。
また、薬指と小指を伸ばすとマウスパッドに接地してしまい、快適な使用感とは程遠いものになってしまいます。
EC2でもかぶせ持ちがキツかった『管理人の指長すぎ問題』というのもあるんですが、指の付け根を接地させることはできても、『手のひら全体を接地させるかぶせ持ち』というのは相当手の小さい人じゃないとキツそうです。
掴み持ちか指を立たせたかぶせ持ちがグッド
そういうわけで、ビッグハンドな管理人の手にはどんな持ち方が良かったかと言うと、指を寝かせず立たせるような持ち方です。
管理人の手にはEC3-Cは掴み持ちか指を立たせるかぶせ持ちとの相性が良くなるように設計されている感が強いです。
やはり、横幅や高さというのはMサイズ相当、マウス前方が短い中型マウスという風に捉えたほうが分かりやすいのかなと思います。
Sサイズではあるものの、持ち方の自由度は高くて手の大きな管理人でもなんの問題も無く使えてしまうというか、めっちゃ持ちやすいです。
いい意味で手のひらと指先にフィットしすぎず空間が生まれるため、左右非対称形状のマウスを持っている感覚が薄く、左右対称マウスのグリップ感に近いです。
左右対称マウスをもっとフィット感のある掴み持ちをしたいプレイヤーはドハマリするんじゃないでしょうか。
マウス後部の形状は手首の可動域が広く使える
EC3-Cはマウス後部の傾斜がなだらかになっているため、いい意味で手のひらと完全にフィットしません。EC2と比較して大きく異る点になります。
EC3-Cを掴み持ちすると、指の付け根部分を左右対称形状に近い感触で触れさせることができます。EC2シェイプは指の付け根部分以外にも手のひらが接地するため、かぶせ持ちはEC2シェイプの方がしやすかったです。
そのため、手首を左右に振る動作でも左右対称形状に近い操作感になるため、握手のポーズに近くなりがちな大型左右非対称マウスよりも手首の可動域が広く取れます。
また、手のひらとマウスの間に空間があることでリコイルコントロールもやりやすさがあります。状況に合わせて一瞬だけつまみ持ちをするということもできます。
現代的な上下左右に視点移動が速くて多いゲームでも違和感なく使えるため、なにか特定のタイトルに限定されるということもありません。
3360センサーでも不満は生まれない
EC3-CにはPixart PAW3360が採用されていますが、不自然な挙動は起こらず、実用には全く問題ありません。
トラッキング操作がメインのApex Legendsをプレイしましたが、違和感なく使えています。
LODも低設定にできますし、マウスを持ち上げる際に不自然な挙動などは起きませんでした。
もちろん現行のハイエンドセンサーでは無いというのは事実ですが、ZOWIEはマウスであれモニターであれ、競技志向が強いためとにかく実用性特化というストイックな姿勢を貫いています。
『どうしても現行ハイエンドセンサーじゃないと無理!』という方で無ければ選択しても後悔しないセンサーではあるので大きな心配は不要です。
まとめ
今回はZOWIE EC3-Cのレビューを行ってきました。
個人の好みもあると思いますが、メインボタンのクリック感やセンサーの挙動というところでは大きな不満が出ません。信頼感の置けるメリハリのある操作ができます。
形状的には一言でまとめると、つかみ持ちでの感想になりますが『左右対称形状に近いグリップ感の左右非対称マウス』です。『EC2の小さいバージョン』というよりも、EC3-Cというひとつのマウス形状として考えてもらった方がいいです。
おすすめできるのはこんな方
- つかみ持ちをしやすい中型マウスを探している
- 左右対称形状よりももう少しフィット感を増やしたい
- 左右非対称形状で手首の可動域を広く取りたい
指を立たせる持ち方、特につかみ持ちをするのであれば、良い意味でフィットしすぎず自由度の高い持ち方が期待できます。
手首の可動域が狭くなりがちな左右非対称マウスのネガティブなポイントを払拭できているため、3Dな視点移動操作が求められるApex Legendsでも違和感なく使えます。
また、新しくなったケーブルとケーブル取り付け部分は、マウスバンジーでケーブルを浮かせると、ほとんどワイヤレスマウスと使用感が変わりませんし、ワイヤードでも問題ないということも実感できました。
重量も70g台で持ち上げる時の重さが気になることもありせん。必要十分な軽量化が施されています。
管理人のようにワイヤードマウスを体験したことのないプレイヤーが今から乗り換えるのも全然アリです。
ただ、マウスバンジーを持っていないのであれば、マウスバンジーを購入する費用が掛かるという点はウィークポイントとして取り上げざるを得ません。マウスとマウスバンジーを合わせて買うとなんだかんだ¥1万を超えてきます。
金額的にも安価なワイヤレスマウスが買えてしまうという点を差し置いても、この形状に価値を見いだせるのであれば、かなり買いなマウスですし掴み持ちユーザーは一度試してみてほしいです。
今回EC3-Cで新しくなったZOWIE マウスの要素が良すぎるため、今後登場するCシリーズのマウスの登場が待ち遠しくなるほどの良作に仕上げられています。
ココが良い
- 左右非対称だけど持ち方の自由度が高い
- ゲームタイトルが限定されず汎用性が高い
- メリハリのあるクリック感
- カリカリと確実な操作ができるホイール
- 煩わしさを感じないパラコードケーブル
- バランスの良いソール
ココはイマイチ
- 手汗が多いと滑るコーティング
- マウスバンジーはやっぱり欲しい
- Sサイズと思って買うと大きい
- 手が小さくないとかぶせ持ちはシンドい
- ハッキリ言って掴み持ち特化形状