せっかく高価なコンデンサーマイクや配信用マイクを導入したのに、ガビガビな声になって困っていませんか?
マイクを導入したばかりのころは、マイクの設定が適切になっていないことが多いです。有名配信者でもけっこう普通にバリバリな音声になっていることがあるくらいです。
バリバリと歪んだ音声は、視聴者からすると聞き心地が良くないので、原因を特定して改善しましょう。
マイクが音割れする原因
マイクがクリップ (音割れ) する原因は、マイクゲインの設定ミスです。マイクゲインを大きくしすぎているとどんな高級マイクでも音声は歪みます。
マイク音声の音量をマイクゲインだけで調整している方に起こりやすいことですね。
マイクゲインとボリュームの違い
マイクゲインとは、マイクに入力される信号の強さを決めるものです。
マイクボリュームは、マイクゲインで決めた音の音量を調整するものです。
マイクゲイン
- オーディオインターフェイスに入力する信号の強さ
- どれくらいの距離から音を拾わせたいかによって変わる
- マイクが遠ければ信号は弱いためマイクゲインを大きくする
- マイクが近ければ信号は強いためマイクゲインを小さくする
- 信号の許容量を越えると音割れする
ボリューム
- マイクゲインで決められた音をコントロールする
- マイクゲインが大きすぎるとボリュームを下げても音割れしたままになる
マイクゲインを大きくすると音量も大きくなりますが、同時に入力される信号の強さも大きくなります。しかし、入力できる信号の強さには上限があります。
そのため、入力できる信号以上になると音として処理できなくなるので音割れしてしまいます。
どんなマイクでもマイクゲインを大きくしすぎるとクリップ (音割れ) させられるということになります。適当に扱っている場合は要注意です。
マイクゲインやDiscordの音声設定を疑う前に、マイクの正しい使い方をマスターしましょう。
配信や通話向けのマイクゲイン設定
配信向けのマイクゲイン設定は、大きい声を出した時にクリップ (音割れ) しないようにすることです。
そして、この設定をするうえで重要なことですが、マイクゲインを決める前に、配信向けのマイキングをすることが前提です。
マイクの距離は3cmから15cmを目指します。この距離にすることで周囲の雑音を拾いにくく、声だけを大きく拾うことが可能になります。
クリップ (音割れ) しないゲイン設定
配信は声のボリュームが一定では無いので、小さい声を出した時にも十分な音量で拾えて、大きい声を出した時にはクリップ (音割れ) しないという設定が理想的です。
オーディオインターフェイスの場合、PEAKランプが見えるようになっていると思います。
配信で想定できる大きい声を出した時にPEAKランプが点灯しているならゲインは大きすぎます。USBマイクならOBSから確認できます。
管理人のオーディオインターフェイスはApogee BOOMですが、0dB以上になっているとメーターが赤くなっているので、クリップ (音割れ) しています。
配信向けなので、想定される大きい声を出しても0dB以上にならない、-5dBくらいに収まるくらいを目指すと、小さい声もなんとか集音できるであろう、ちょうどいいゲインということにしています。
マイクやオーディオインターフェイスは配信を想定した製品がおすすめです。
適切にアウトプットレベルを操作する
オーディオインターフェイスを使っている場合は、ゲインとマイクボリュームが決められるようになっていると思います。ちょっと小さいくらいの音量でもマイクボリュームを適切に操作するのがミソです。
単純に感度が低いマイクでもゲインだけで音量調節をすると歪んでしまうかもしれません。適切に使い分けることでクリップ (音割れ) を防げます。
管理人の場合は、Apogee BOOMというオーディオインターフェイスを使っていますが、マイクゲインとは別に、音量を調整をするためのアウトプットレベルが設定できます。
オーディオインターフェイスによって呼び方は異なるかもしれませんが同じ機能を持っているかもしれません。
例えば、配信で音が小さい場合でも、マイクゲインを大きくすることなく音量の調整が可能です。マイクボリュームとして機能してくれます。
ゲインを大きくしてボリュームを下げた場合
管理人の場合は、マイクゲインの調整だけでも歪まずに十分な音量で集音することができていますが、たとえば、マイクゲインだけで音量を稼いだ場合も見ておきましょう。
マイクゲインをPEAKランプが点灯するくらいまで大きくして、実際にアウトプットされる音量をアウトプットレベルで調整してみました。
18dBで十分な音量が取れるマイクをマイクゲイン40dBにして録音
アウトプットレベルは-19dB
音量は問題なくても、バリバリと歪んだ音声になっています。少しでも声が大きくなるとディストーションボイスになってしまいます。
よくDiscordの通話で音声が良くないからとDiscordの通話設定をいじってみたりする場合もありますが、マイクゲインがおかしい場合もあるので、見直してみたほうがいい方も多そうです。
Discordの設定は内容を理解して使いこなしましょう。
適切なゲインにした場合
18dBで十分な音量が取れるマイクをマイクゲイン18dBにして録音
アウトプットレベルは0dB
ゲインを適切にすると、音量はそのままに音質が改善されています。クリアな音質でとても聞き取りやすいです。
配信ソフトやDiscordなどの設定で自分のマイク音量を下げているような場合、ゲインが大きくて音割れしやすい設定になっているかもしれません。
マイクゲイン以外にマイクボリュームが調整できるのであれば、ゲインは大きくせずにマイクボリュームでコントロールしてみてください。
使用しているマイクとオーディオインターフェイス
▶【sE Electronics DynaCaster】レビュー。コンパクトだけど機能が豊富で音量が取りやすい配信向けダイナミックマイク
▶【Apogee BOOM】レビュー。手頃な価格で配信用途では聞くも話すも圧倒的に高音質で多機能なオーディオインターフェイス
配信向けマイクは実用性重視でダイナミックマイクがおすすめです。
マイク音量が小さくて困っている場合
マイクの音量が小さいからどうしてもマイクゲインを大きくしないといけない場合もあると思います。
そういった場合もマイクの音量を大きくできない原因があります。
マイクが遠い
マイクが遠いとゲインを大きくしないと声が十分な音量で取れません。
それだけでなく、マイクと口の間に距離があることで、様々な環境音が集音されてしまいます。残響音も拾うのでお風呂場みたいな声になります。
基本的には、マイクというものは集音したい音の鳴るものの目の前に持ってくるのが適切なセッティングです。オンマイクというマイキングです。
声を録るなら口元の目の前に持ってくるのが上手なセッティングです。配信でもマイクアームを使うのがベストです。マイクアームはインテリアではなく録音を補助をする機材です。
マイクゲインを大きくしすぎなくても音量が取れるようになりますし、雑音も入りにくくなります。
また、マイクの距離が変わると必要なマイクゲインも変わります。マイクを近づけたら必ずマイクゲインも調整してください。
小さくて軽いマイクにも使える万能マイクアーム
マイクアームを使うことを推奨しています。
オーディオインターフェイスがスペック不足
オーディオインターフェイスのマイクゲインが足りないとマイク音量が小さいこともあります。
一般的にはコンデンサーマイクは感度が高く、ダイナミックマイクは感度が低いです。
コンデンサーマイク向けに作られたオーディオインターフェイスを使っているなら、ダイナミックマイクを使うとなると十分な音量が取れないかもしれません。
管理人の使っているApogee BOOMはマイクゲイン62dBです。
例えば、SHURE MV7は感度-55dBVです。その場合はマイクゲイン 55dB以上とスペックに記載があるオーディオインターフェイスを使ったほうがいいです。
配信なら基本的には感度にマイクゲインを足したときに0に近くなれば問題ありません。
SHUREからSM7Bでも使えるマイクゲイン 60dBのオーディオインターフェイスが発売されるようになりました。
マイクの距離に問題が無ければオーディオインターフェイスを調べてみましょう。
まとめ
配信やDiscordの通話でクリップ (音割れ) してしまうのは、マイクゲインが大きすぎるからです。
マイクゲイン
- 信号の強さを決めるもの
マイクボリューム
- マイクゲインで決めた音量の調節
どうしても声のボリュームが一定にはならないので、大きい声を出してもクリップ (音割れ) しないマイクゲインを目指すと、常に高音質な音声が利用できます。
また、音量が小さい場合は、マイクを近づけると音質を維持できて音量も稼げます。遠くに配置させるのはおすすめしません。
OBSなどで音声レベルを下げているような場合は、音声が歪んでないかチェックしたほうがよさそうですよ。